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ボードゲームで遊ぼうよ?

ボードゲームの紹介やプレイ日記

ボードゲームをつくってゲームマーケットで売ってみた話 3

ゲームデザイン

 「狼と七日間」というボードゲームの制作を振り返っています。
はじめから読みたい方はこちらからどうぞ↓

ボードゲームをつくってゲームマーケットで売ってみた話 1 - ボードゲームで遊ぼうよ?

目 次

テストプレイ千本ノック

 前回は試作ゲームをつくり、テストプレイの結果を鑑みて改良を加えました。

 まだまだ面白いと感じられるゲームではありませんが、「ルールを変えてみる」ことで、考えどころや新鮮さが生まれ、プレイ感が変化していくことに感動しました。この感情はいま、ゲーム制作を続けるための原動力となっています。

 さて、2回目以降のテストプレイでは、文字通りたくさんのルールを捻りだしてひたすらテストしました。アイディアは試してみるまで面白いかどうか分かりません。特に、ゲーム制作の素人である僕たちは、愚直にすべてのアイディアを試すしかありませんでした。楽しいテストプレイ千本ノックのはじまりです。

 ゲームの原型は「はげたかのえじき」。裏向きに伏せられた得点カードに影響力チップを置いていく陣取りゲームで、手札の数字カードを裏向き一斉公開で使用してチップを置く順番を決め、バッティングするとペナルティ。このゲームに以下のようなルール変更を加えてみました。

  • 得点配分を変えてみる
  • 手札の枚数を変えてみる
  • 場札を公開情報にしてみる
  • 手札に能力をつけてみる
  • 場札に能力をつけてみる
  • 場札における影響力チップの数を決める
  • 影響力チップに種類を作る
  • ダイスを取り入れてみる
  • バッティングのペナルティを変えてみる

 などなど……本当にいろいろ試しました。そのほとんどがクソゲーでしたが、ルールの変化とプレイ感の相関を見出すことができて、非常に実りのあるテストプレイでした。

 今振り返れば当たり前の話なんですが、以下のようなことが実感として分かってきます。

  • 得点配分の幅を広げればゲームの差がつきやすく派手なゲームに、狭めればじわじわとしたゲームに
  • 手札が多くなればバッティングはしづらく、少なくなればしやすい
  • バッティングの確率があがるほど軽ゲーやパーティーゲーム感がでる
  • 場札を公開情報にすると見通しがよくなるが、状況が読めるため逆転不可能な状況が見える場合も
  • 手札に能力をつけると、考えどころが増えるが、処理が煩雑に
  • 場札の能力も同様だが、場札を選ぶという行為に得点と能力が入っているのはいいジレンマだった
  • 影響力チップが置ける数を制限すると、よりロジカルなゲームになって、一手の重みが増す
  • 影響力チップに種類をつくると、状況に合わせてどのチップを置くか?という考えどころができた
  • ダイスを振ってランダムにチップを置く能力も考案→パーティーゲーに

 どのアイディアにも一長一短あり、ここから先は好みの問題じゃないか?という意見がサークル内ででます。確かに。じゃあ僕たちは一体だれの「楽しい」に合わせてゲームを作っていけばいいんでしょうか?

誰に合わせて作るのか?

 最初は「はげたかのえじき」を意識した通り、いわゆる“初心者向け”を目指していたハズでした。しかし、テストプレイを続けていくなかで、「能力を付けた方が考えどころがあって楽しいよね」「軽めのバッティングゲーとして、はげたかのえじきを超えることは無謀」という意見がでます。全くその通りで、はげたかのえじきはなんて美しいんだ!傑作すぎるだろ!ずるい!!という謎の嫉妬心が芽生えます。

 方向性を決定づけたのは、ボードゲーム制作の先輩である楠本舗大先生に遊んでもらった時のコメント。軽めのゲームを目指していたハズなのに……


 「これは軽ゲーではないですね」


 この一言でハッとしました。

 僕たちが作りたいのは軽ゲーではないんだ!初出展だからといって軽ゲーを目指す必要はないんだ!自分たちが楽しいと思えるゲームを作りたいし、そこを目指すうえで軽ゲーか重ゲーかは関係ないんだ!

 こうして、僕たちは「自分たちが楽しいと思えるゲーム」を評価軸としてゲームを作ることを再確認しました。誰に向けてゲームを作るのかは本当に人それぞれだと思いますが、僕たちは自分たちが一番楽しめるゲームを目指します。

 ※売れるゲームの作り方は分かりません!STP理論を学んでマーケティングスキルを磨いてみてくださいね!

 ※楠本舗さんはゲムマ秋で新作「Tri(トライ)」という2人用カードゲームを頒布予定だそうです!やってみたい!

フレーバーを考えよう!

 ゲームのアイディアだしの時にも触れましたが、ゲームを作るときは大きく分けてシステムから思いつく時と、フレーバーから思いつく時の2種類があるそうです。「狼と七日間」はシステムからでした。

 テストプレイを重ね、凝りに凝ったルール。この段階からフレーバーを考えてしまっては、なかなかピッタリくるものがありません。次回はルールとフレーバー、一緒に考えていきたいところです。さて、

 一体プレイヤーは何者で、何を目指しているんだろう?

 いくつか案が出されました。

 プレイヤーは花魁(おいらん)に恋した男性となり、花魁たちに貢物をしてあこがれの彼女をわがものにしようとするゲーム

 和フレーバー流行ってるしいいんじゃない?とも思いましたが、勝つためにはいろんな女性にアタックしなければならず、プレイヤーの人間性が疑われます。また、ちょっとアダルティックな雰囲気もあり、表現が難しいところもありました。却下。

 続いてこちら!

 プレイヤーは見習いの神様となり、幸せを運ぶケサラン・パサランで人間たちを幸せにする試験に臨むゲーム

 一つ裏話なのですが、影響力チップは原価の関係上「ぼんてん」と呼ばれる謎のふわふわを利用しようと考えていました。

ボン天・ぼん天◆バラ売り ナイロン凡天 10mm(1個) 白



 これです。梵天(ぼんてん)と言うらしい。100円ショップや手芸屋さんに売ってます。


 見た目から生まれたフレーバーですが、人間を幸せにする試験なのにお互い足を引っ張りあう神様って……これまたプレイヤーの神様性が疑われます。また、ちょっとカルティックな雰囲気もあり、海外展開を目指す上で(目指してませんが)表現が難しいところもありました。却下。


 そして最後、実際に採用されたのが…

 プレイヤーは人狼の一族となり、人間たちの村を襲撃することを目指すゲーム

ミラーズホロウの人狼 [並行輸入品]


 陣取りというテーマは必然的に争いが激しくなるため、プレイヤーはある程度「パワーを持っていたり、悪役ができる」キャラクターの方が良かったのです。このテーマでルールを再編成すると、何故だかルールがしっくりくるところが多く、すぐに採用となりました。まるでこのテーマのために生まれたシステムのようにも感じたのです。(そう感じたのはこの時だけで、説明書を作るときにはこのフレーバーにひどく悩まされました笑)


 長くなったので、今回はこの辺で!

 次回は完成版ルールの紹介と説明書づくりです。余裕があれば僕たちのウェブサイトを動かしている無料サービス「Strikingly」の話もできたらいいなと思います。よろしくね!

 (続く)