デザイナーズノート|トラピジスタ
自作ゲームのトラピジスタを作る上で考えたこと等をまとめました
プロトタイプ
最初に作ったのはシーソーをテーマとしたフリップフロップというトリックテイキングゲームだ
4人専用、対面の人とチームを組んで合計得点を競う
使用カードは4色1~10で、マストフォロー・切り札あり、40枚中4枚除外して手札を配り、9トリック行う
通常はリードスートで数字が大きい方が勝つが、4のカードが出るとそのトリックでは強弱が逆転し、切り札も切り札でなくなるのが特徴、さらに、5のカードが出ていた場合は逆転を打ち消して元に戻る
まるでシーソーのように強さがドタバタと切り替わるトリテだ
たくさん勝てば良いわけではなく、得点は獲得トリック数で決まる
0トリック | 50点 |
1トリック | 30点 |
2トリック | 0点 |
3トリック | 70点 |
4トリック | 100点 |
それ以上 | -50点 |
得点はチームの合計獲得トリックでなく、プレイヤーごとに計算する
中途半端に2トリックだけとったり、5トリック以上とってはいけない
とらないなら0トリック、とるなら4トリックになるように、うまく自分とパートナーの獲得トリック数を調整するのがコツだ
これを繰り返してチームの合計得点が300点に達したチームの勝ち
これでもなかなか楽しかったのだが、パートナーを勝たせたり・敵を勝たせたりするという楽しみだけなら、他のゲームで十分なのでは?とも思い始めた
オリジナルの面白さを目指して
他にもトリックテイキングをいくつか作ったが、それらはトリックの勝敗に捻りがあったり、カードに特殊効果がついていたり、獲得したカードの得点に工夫があったりするものだった
結果、どれも分かりづらく、既存ゲームの焼き直しみたいだった
正直、トリテのルールそのものを弄るなら、プレイヤーにルールを決めさせた方が面白い(個人の感想です)
コントラクトブリッジはプレイヤーが切り札や勝つべきトリック数を決める、ニェット!はプレイヤーが消去法でルールを決める、バスシュティッヒはプレイヤーが手札をつくり目標を定める…
僕がルールを捻ったオリジナルゲームよりも、プレイヤーがその都度手札を鑑みて協議した方が面白いんじゃないか、そんな気がした
だからトリテ自体のルールを捻るのはやめた
マストフォロー・切り札なし、そのくらいにして、面白さの仕組みは、トリテの外側に設けることにした
面白さはトリテの外側に
「シンプルなトリテを行った結果で何かが起こる」
そんなトリテを考えた
トラピジスタでは、トリックの勝者がコマを移動する、それだけだ
獲得トリック数は得点に関係なく、コマの配置のみが重要となる
そして、コマの状況はボードで視覚化されている
他プレイヤーのコマの動きで勝つべきか負けるべきかが変化するため、長期的な計画を遂行するような戦略性はない
しかし、空中ブランコというテーマを楽しみながらプレイヤーを模したコマたちが動き、ドラマティックな展開が目の前で起こるのはとても楽しかった
トリックテイキングの外側、視覚化されたドラマを少しだけ操作して、一喜一憂するのがこのゲームの面白さなのかなと思っている
なお、最初のテストプレイ段階ではコマがぐるぐる回る仕様ではなく、ボードには十字にマスが描かれていた
試作トリテ【トラピジスタ(仮)】
— ゆたか (@yutaka_88) 2017年1月24日
テストプレイ
今回はシンプルな面白さを追求してノートランプに挑戦。
一回目のテストプレイ終了後、あかしあさん&しょーじさんからのアドバイスを頂き、修正案でプレイ。
面白さはそのままに、より盛り上がる良案でした!付き合ってくれてありがとう!! pic.twitter.com/J5vg77Brdk
基本的には対面プレイヤーとしか協力関係は起こらず、真ん中のマスでのみ3つ以上コマが重なる仕様だ
この場合は対面プレイヤーと合わせて6トリックとることを目指す感じのゲームとなり、より予測は立てやすい
のだが、テストプレイ参加者から
「もっと重なるようにした方が盛り上がるじゃん!」
という意見をもらい、ぐるぐる回るようにした
確かにこの方が盛り上がるし、空中ブランコ感もでる
つまり、戦略性を犠牲にし、盛り上がりを優先した
こういったアイディアが生まれる瞬間がたまらなく気持ちいい
テストプレイの醍醐味だ
なお、ジョーカーの強弱逆転ルールは運要素を強めるが、空中ブランコというテーマも鑑みて採用した
突然生まれるプレイヤー同士の協力関係、同僚が舞台から落ちてしまわぬように、うまくジョーカーを差し込んでほしい
それでも戦略は必要だ
とはいえ、これはトリックテイキングゲームだ
どのカードをプレイすれば勝ちに繋がるのかを考える楽しみが当然なくてはならない
一つコツを伝えるなら、ジョーカーを持っていない場合は序盤にトリックを獲得しないことをオススメする
切り札が存在しないため、リードプレイヤーになってしまうと負けるのが難しくなる
誰かのコマの上に乗っかり、さあ負けるぞと意気込んで出した小さい数字のカード、そこへ差し込まれた悪意のジョーカーで事故が起こってしまうことも…
まずは他プレイヤーの手札が予測可能になるまで負けておくのが無難だ
逆にジョーカーを持っていたなら負けるのは簡単だ、トリックを取って誰かと協力関係を築いておこう
右隣りのプレイヤーと協力関係を築ければ、多少乱暴にリードでカードをきってもなんとかしてくれる…かもしれない
トラピジスタは全部で4ディール行うが、得点が低いプレイヤーは後半ディールで迂闊に事故を狙ってはいけない
事故では1点しか得られず、場合によっては他のプレイヤーにも同じ得点が入ってしまう
可能な限り2点・3点がとれるように挑戦してみよう、その方がゲームも盛り上がる
もちろん場合によっては事故を起こして勝ってしまう不健全な空中ブランコ乗りもいるだろうが…
その時は残りの3人が必至でフォローするのもまた一興
人気者への道は命がけなのだ
最後に
トラピジスタは造語だ、イタリア語ではない
造語にした理由の一つはしっくりきたから
もう一つは検索性を上げるためだ
ちなみに空中ブランコは英語でtrapeze(トラピーズ)
空中ブランコ乗りはtrapezist(トラピージスト)
なんとなく語呂が悪い
そして宇宙からaが飛来してTrapezista(トラピジスタ)となった
トラペではなく、トラピ、なのでどうかよろしくお願いします
ご感想やご質問などあればコメントください
最後までご覧いただきありがとうございました